白神山地のブナの森の香り・またぎ(きこり)の伝統料理が息づく一ツ森・鬼袋・赤石地区
今、世界は新しい秩序を求めて、日本もグローバル化の中で、日本古来の伝統を捨て、雇用形態も変わり、TPP(Trans-Pacific Partnership、環太平洋戦略的経済連携協定というグローバル化の中の新ルールに加わり、市場原理主義経済の中に吸い込まれようとしています。
白神山地の里、一ツ森・鬼袋・赤石地区は、白神山地の核心部分に源流部を持つ赤石川の流域と共に発展してきた地区です。ここに住む人々は自然への畏敬の念を頂き、再生と循環の森の世界観を持ち、山・川・海の循環に包まれた暮らしを営々と続けてきました。
9000年前から、日本海は、対馬暖流の気候により、多雪の風土が白神山地というブナの森をつくったと言っても過言ではありません。
温帯の落葉広葉樹の森と対馬暖流とが相まって適応した森と海の文化が作り上げたのが、白神山地というエコミュージアム(森の博物館)です。
かつて、この日本海は、中国・韓国の家畜・畑作・牧畜等の乾燥地帯の文明の侵攻を受けようとしましたが、13世紀のモンゴルの侵攻もこの気候変動が国土を守った歴史があります。
古来、自然と共存し豊かな森を守り戦争をすることがなかった縄文人は、自然に畏敬の念を抱き、生命や家族を大切にし、森と海のそばに暮らしたと言われています。
森と水の循環の持続可能な『稲作漁撈の文明』こそ、白神山地を源とするこの一ツ森・鬼袋・赤石地区の森の文化・米の文化のこだわりではないかと思っています。
今は、欧米中心の文明史観に陰りが見え隠れしていますが、森と水の循環を維持し、生物の多様性を維持する自然に優しい農耕地帯が、白神山地の里、この地区の大きな風土と思っています。多くの方々がこの地を訪ね、その事を体感する機会をこの地の拠点でもある白神自然学校一ツ森校で味わっていただければと思います。
広大な白神のブナ林の中を通ったミネラル豊富な赤石川は地区の真ん中を走り、地区の私たちは、水稲を中心とした農業で生業をなしています。
『農家レストラン しらかみ』で提供される伝統的料理や赤石川で有名な金鮎の味、そして、地元の人達が案内するガイドや、白神の森から抽出したオオバクロモジから蒸留した白神アロマの精油の香りを楽しんで頂ければと思います。また、農家民宿して、『津軽弁』での交流は、津軽人の気質から、タイムスリップして、縄文のアニミズムの世界へと誘ってくれることでしょう。
私たちは、この伝統的な水稲と林業中心の暮らしを守る為に、多くの方々にこの地区に立ち寄って頂き、この地区で作られたミネラル豊富な、お米を召し上がって頂き、農家レストランや農家民宿で、伝統料理を召し上がって頂き、激励して頂けたら、大変うれしく思います。このホームページでは、この地区の魅力をあらゆる角度からお届けして参りますので、宜しくお願いします。
※稲作漁撈文明という言葉は、 安田喜憲 現国際日本文化研究センター教授の稲作漁撈文明著より、引用しました。
鰺ヶ沢白神グリーンツーリズム推進協議会
会長 永井雄人 2015年12月1日